口腔がん
口腔がん
顎口腔領域の軟組織や顎骨に発生する腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があります。良性腫瘍にはエナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍、歯牙腫、乳頭腫、線維腫、血管腫などがあり、悪性腫瘍にはがん腫、肉腫、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、悪性唾液腺腫瘍などがあります。悪性腫瘍の大部分はがん腫で、WHOは頬粘膜、上顎歯肉、下顎歯肉、硬口蓋、舌、口底に発生したがんを口腔がんと定義しています。
特にこの領域の悪性腫瘍は咀嚼(そしゃく:噛み砕くこと)、嚥下(えんげ:飲み込むこと)、発音などの機能に関わる疾患でその治療には機能の温存のみでなく整容的な面を考えた治療が必要です。そのため、腫瘍切除後には機能的・形態的再建手術が必要になる場合もあります。
口腔がんの発生要因は数多くありますが、代表的なものは喫煙と飲酒です。喫煙本数・喫煙年数、飲酒量・飲酒年数が多いほど口腔がんの発生頻度が高いといわれています。喫煙者では、非喫煙者に比べや約7倍、飲酒は、飲酒習慣のない人に比べ約6倍、喫煙と飲酒の複合した場合は、約36倍と、特に喫煙と飲酒の両方の習慣を持つ方は口腔がんのハイリスクグループと考えられます。
その他、不潔な口腔衛生状態(う蝕歯、不適合補綴物、口腔衛生不良など)や口腔・咽頭がん、他臓器がんの既往、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染なども原因とされています。
口腔がんのできやすい場所は舌・歯茎・頬の粘膜です。中高年齢の方は、セルフチェック※を行い少しでも気になることがあれば、診察を受けることが大切です。当院では、臨床および肉眼所見にておおよその診断をつけることはできますが、病理組織検査を行うことにより確定診断をつけます。早期発見・早期治療が大切です。
日本における口腔がんの年齢的な特徴は、年齢別では、70歳代が一番多く29.1%、60歳代26.5%、50歳代が18.1%となり、50歳以上が約80%を占めています。性別では、男性は59.1%、女性は40.9%で、約3:2で男性に多くみられます(2002年度の統計)。
高齢化社会を迎えた日本では、超高齢者の口腔がん患者が、さらに増加すると予想されます。
病変がリンパ節に転移する前に病変全部と病変周囲の正常組織(安全域)を除去すれば治癒率が高く、がんと診断された人のうち平均68%の人が、少なくとも5年以上生存します。
しかし、病変がリンパ節まで広がってしまうと、5年生存率は25%に下がります。
すなわち、早期発見がいかに重要かということです。口腔がんの早期発見のために注意すべき徴候があります。こうした徴候がみられたら、まず当院にご相談ください。実際に口腔がんが疑われた場合には、連携している大学病院や医療機関にご紹介できるシステムを取っております。
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