親知らず
親知らず
親知らずは20歳前後に完成する永久歯です。歯列の一番奥に萌出(ほうしゅつ)するため、スペースが狭く、萌(は)える方向が悪くなることが多いため、完全に顎の骨の中に埋まっていたり、途中で萌出が止まってしまうことが多くあります。そのため、レントゲン撮影して発見されることが多いです。例え歯が萌出してきても十分な歯磨きができないためむし歯になりやすく、また親知らず手前の歯(隣在歯)にむし歯を作る原因にもなります。その他、歯並びが悪くなったり、顎関節症を引き起こす原因ともなります。
食べかすが歯の周りの歯肉に溜まる、歯肉がたびたび腫れる、痛い、歯肉・頬をかむ、歯並びが悪くなった、顎が痛いなどの症状を自覚したら抜歯をお勧めします。
親知らず(智歯や第三大臼歯とも言います)の抜歯は、歯科口腔外科で最も多く行われている手術です。他の抜歯とは異なり、歯肉を切ったり、骨を削ったり、あるいは歯や根を割って抜歯を行うため、術者の熟練を要します。当院では総合病院や大学病院で十分な経験を積んだ、(社)日本口腔外科学会認定 口腔外科専門医・指導医が抜歯を担当します。また、患者様の希望があれば、総合病院の外来がやっていない土曜日に抜歯することも可能です。費用は保険診療となります。
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カウンセリング
病歴・持病、ご要望、歯の状態を確認させていただき、治療の流れなどを説明し、同意書をいただきます。
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レントゲン検査
必要に応じて歯科用CTで、神経や血管の位置、親知らずの埋伏状態、歯根形態を確認します。事前に「親知らず」の状態を詳細に把握し、シミュレーションすることで、安全性を十分に確保して抜歯を行います。
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抜歯準備
炎症が起きている場合は、麻酔が効きにくく、また口腔内を清潔に保って抜歯後感染を最小限に抑える目的で、抗生物質を事前に服用していただきます。
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麻酔(痛みの軽減)
表面麻酔を行い、注射の痛みを感じなくさせた後に、できるだけ細い針を使用し注射麻酔を行います。これにより麻酔の痛みを最小限に抑えます。
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抜歯
イメージ図*1
イメージ図*2
イメージ図*3
親知らずに歯肉が被っている場合、歯肉を切開して(*1)親知らずの頭を出して抜歯します(*2・*3)。横向きや斜めに萌えている親知らずは、周囲の骨を削りながら、いくつかに分割して取り除きます。奥に埋まっている場合は、周囲の骨を削ることもあります。
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止血と縫合
抜いてできた穴の部分が、早く閉じるようにかさぶたの形成を促します。穴には抗生剤や止血剤を填入して縫合します。また、ガーゼを強くかんでいただくことで圧迫止血を行い、痛みや腫れを最小限に抑えます。
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消毒(省く場合あり)と抜糸
抜歯の翌日は、出血・細菌感染などの確認と消毒を行い、状態によって薬の追加処方をします。抜歯後1週間ほど経過すると傷口が落ち着いてきますので、問題がなければ抜糸をします。その後、約1ヶ月で傷口は完全に閉じて、骨は3~6ヶ月程度で回復します(この期間には個人差があります)。
抜歯後、2~3日間は安静にしてください
術後2~3日は抜歯後の反応により腫れや痛みがあります。また、かさぶたになるまでは出血しやすい状態にあります。アルコールや運動、長時間の入浴など血液循環が良くなるようなことは避け、安静にしましょう。血が止まらない場合は、清潔なガーゼなどを丸めて、出血の場所にあてて、しっかりかむことで圧迫止血をします。抜歯後、1~2日間は多少の出血がありますが、持続性でなければ問題ありません。
傷口は触らないように、うがいは軽くにしてください
抜いた穴の中にできたかさぶたを、口に水を含み転がすなどして洗い流さないようにしてください。かさぶたが剥がれてしまうと、治癒期間が延びたり、傷口が細菌に感染したりします。また、抜いた穴がなかなか閉じず、骨の部分が露出してしまうことがあります。この状態をドライソケット(治癒不全)と言い、痛み止めを飲まないと耐えられない痛みが、1~4週間続くことがあります。目安として2週間経過しても痛みの状態が改善されなければドライソケットの可能性が高いので、受診してください。
腫れた時には軽く冷やす(抜歯当日のみ)
親知らずを抜いた時に起こりやすいのが「腫れ」です。この腫れは軽く冷やすことで引くことがあります。頬の外側から冷却ジェルシートを貼ることも効果的です。
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